僕は大好きな君と別れなくてはいけなくて。
でも別れ話をするのはつらすぎて。
友だちから、「吹くと、自分の思いと違う言葉が出てくる“ホラ貝”」を借りてきた。
僕が君の前で心を込めて“ホラ貝”を吹くと、“ホラ貝”は僕の代わりに高らかに言葉を紡ぐ。
『僕は君のことが嫌いになったんだ』
なのに君はきっぱりと、
「それは嘘よ」
と言い放った。
思わず、「どうしてそう思うの?」と問い返す僕に、君は、迷いのない理知的な瞳で答えた。
「だってあなた、ほらを吹いているもの。」
ああ、なんて素敵なんだろう。
ホラ、やっぱり僕は君から離れられない。