8月5日
- 今年のSF大会は横浜のパシフィコ横浜にて開催された。
なぜZero-CONかというとなんかいろいろ説があるそうだが、
とりあえず2000年ということでゼロがならんでいるからだという。
それはともかくオープニング。
受付でガイドブックやちらしなどの入った白いてさげをもらって、
ホールの空いている席に座る。
DAICONのオープニングなど有名なので、ここではどんなオープニングなんだろうと思いきや、
かなりきびしい台所事情を反映してか、結構しょぼい。
もぞうしをベニヤに貼り合わせただけのバックの前の舞台に司会が立ち、
議事進行。企画が読み上げられると同時にたらされるそのタイトルの紙が
うまくたれてくれなかったりしてたが、あれは演出か?
オープニングは質素に終了し、キツネにつままれたような気分で、
となりの棟へとみんなぞろぞろと移動しはじめた。
なにはともあれ、20世紀最後のSF大会、ゼロコンは始まったのだ。
- やっぱり最初ということで、初心者の部屋に行く。
別に裏初心者の部屋といのがあって、大和眞也さんが出るということだったので、
そちらに行こうかと思っていたのだが、当日渡されたガイドブックによる企画の紹介を見ると、
どうも運営側の初心者ガイドみたいな感じだったのでやめた。
初心者の部屋の説明者はスタッフのヤマモトヨーコ(仮名)さん。
まあ、あたりまえといえばあたりまえのことを話していたが、
そもそもそれぞれの企画がどのように進行していくのかよくわからなかっただけに、
とても参考になった。
ちなみに、SF大会に都市型と合宿型の2タイプがあることをここで始めて知った。
今回のように都市で昼間に行われるものを都市型といい、
旅館やホテルなどに泊りながら、夜を徹して行われるものを合宿型というらしい。
昨年の長野県で行われた「やねこん」がこの合宿型だったそうだ。
ヤマモト(仮名)さんはこれが終ったあとでお友達を作りたい人は残ってね、
と言っていたが、残った人がいたかどうかは定かでない。
あれ、みんな残らないの、みたいに言ってたし。
初心者の部屋が早めに終ったので、他の企画にも顔を出してみることにした。
「ちょっとアブないヨーコの部屋」がそれだ。
こちらは同じヤマモトヨーコでも、宇宙戦艦ヤマモトヨーコのヨーコのことで、
先程のスタッフのヤマモト(仮名)さんとは何の関係もない。
内容としては本当にヤばいもので、
ここでは書けないような原作者のトークが続いた。
要は、あのアニメは作者としても不本意だったということらしい。
- ここでこまったことになった。
丁度、それほど見たい企画がないので昼にでもしようと思ったのだが、
時計を持ってくるのを忘れてしまっていたのだ。
これだけ時間がつまっていると、
時計を持たずに昼に行っていると、次の企画に遅れてしまうような気がした。
とりあえず会場を出て、手前のクイーンズスクエアへ。
そこで小さな時計店を発見し、できるだけ安い腕時計を買った。
といっても私は最近は腕時計はまったくしないので、
バンドをウェストポーチのベルトにとめた。
これで時間がわかるようになった。
と、いっても、ちゃんとしたレストランに入るのはやはり時間的に不安を感じるので、
会場のとなりの軽食屋で食事をとる。
会場にもどり、腹こなしとばかりにディーラーズルーム
(ノリは小さな同人誌即売会)をひやかしたりしてから、
カフェ・イエス・ハウスに行く。
最初とりあえず席についてみたら、
メニューに先にチケットを買えとあった。
あわててチケット買って席についた。
ちょうどそのときになにかのイベントが始まるところだった。
司会席にいる人が山田南平さんを呼ばわる。
すると、私がいたテーブルに何人かと座っていた女性が立ち上って司会席の方に行くではないか。
なんと、本人と同じテーブルに一瞬でしたがついていたわけだ。
ちなみに、山田南平さんは花とゆめに「紅茶王子」というまんがを連載している。
すると、私の隣に座っていた人がかのまっちゃんだったのか。
メニューのカットに山田南平さんの絵が描いてあったので、
何か関係があるのかなぁ、と思っていたのだが、この企画との関連だったのかもしれない。
私の知っている作家さんが目の前にいたというのは、
コミケでの衝撃よりも大きかったのでした。
- ちょっと「宇宙開発の部屋」をのぞいてから、
「ハードSFのネタ教えます」に行く。
司会の人はイっちゃっている論文をたくさんもってきていて、それの紹介をしてくれた。
司会の他に何人かパネラーがいて、お互いに色々やりとりしながら話を進めていくのだが、
このやりとりが絶妙で、非常におもしろかった。
ネタとしてもトンネル効果を利用した超光速通信とか、
5次元ソリトン宇宙による重力の減衰効果、
零点振動による慣性の中和など色々なネタが紹介されました。
超光速通信は、最近新聞でも紹介された、
光速の300倍が達成されたという記事に関連した論文からの紹介。
トンネル効果により波の先端が光速を越えて伝達するというものらしいが、
学会ではこの効果によって情報が伝達するかどうかが非常に問題になっているらしい。
超光速ネタでは大事なことであるが、
相対論によると情報は光速を越えて伝達することはないことになっている。
これが光速を越えるとなると大事で、因果律が崩壊することになりかねないのだ。
(因果律とは、原因があってから結果が発生するという順番が変らないというもの。
超光速が実現すると、ある速度で運動している観測者から見ると、
原因と結果がひっくりかえってるようになる。
実際にどう見えるかはまた話がややこしくなるが…)
5次元ソリトン宇宙は超弦理論の研究から派生したものらしい。
超弦は物質と空間が10次元のストリングスの振動によって生じる
というものなのだが、時間を含めた4次元以外の6次元がどうして
観測できないのかが問題になっている。
ソリトン宇宙理論では、3次元の宇宙そのものが5次元空間の中のソリトン(孤立波)であると考える。
要は5次元空間のなかの薄い膜のようなものと考えるわけだ。
そして、重力以外の全ての力がこの膜の中に拘束されると考え、
膜が1ミリメートル間隔で並行に同じものが並んでいて、
その中の物質同士は重力の影響を受けると考えると、
どうして、電磁力と重力がこんなにも大きさが違うのかが説明できるのだという。
この膜の間隔をひろげることができれば、重力が弱まることになるから、
重力の中和を実現できることになるという話であった。
零点振動の話は、力というものが、真空の持つ零点振動による抵抗によって生じているのだ
と説明する。
なんらかの方法でその抵抗を変化させれば、慣性を中和させることも可能になるという話だった。
どれも実現性ではどっこいどっこいであるが、アイディア次第ではどうでも
料理できそうな素材であった。
- ちょっと宇宙開発の部屋をのぞくが、次の机上理論学会発表会が始まるまでに
終りそうもなかったので抜け出す。
机上理論はどちかというと笑いをとる方の企画で、
その名前からの印象よりも柔らかいものだった。
いくつかの理論が展開されたが、一番受けたのは最初のものではないだろうか。
しゃぼんだまの歌があるが、その作者の子供は夭逝しているという。
そこで、その死因はなにかを探っていた。
それもしゃぼんだまの歌の歌詞だけから推測したのである。
2番の歌詞の「生まれてすぐにこわれて消えた」というのがその夭逝したことを意味するのだろうという。
1番の歌詞の屋根まで飛んではじけて消えたというのがある。
そこからふたつのことが言える。屋根まで飛んだということと、
はじけて消えたということである。
つまり、作者の子供は体内で水素を発生させ、
そのため軽くなって空を飛び、
やがて、水素に引火して爆発してはじけたというのだ。
よって、死因は水素の爆発による爆死だと。
このように机上理論ではあるネタに対して、
強引な展開をして、最後にオチをつけるのが特徴なんだという。
これは話し手の進行のしかたによってはもっとおもしろくなったのだろうと思うが、
どうにもちょっと慣れていない感じがあったため、
どことなく中途半端な感じになってしまった。
さすがに最後が近づくにしたがって人数が減っていってしまっていた。
(他の企画が始まるからだったのかもしれないが。
企画の部屋の出入りは自由なのだ。)
- SF大会のはじまる前にプログレスレポートという、
大会について書かれた冊子が送られてきたのだが、
その最終号には今大会での企画の一部が紹介されていた。
その中でこのタイトルをみて、
はじめて小林めぐみがデビュー10周年だったと知った。
私は小林めぐみの作品をデビュー当時から読んでいるが、
独特のテンポを持つ作家として注目していた。
さて、会場(といっても他の企画とかと同じ会議室であるが)についたが、
まだ数人しかいなくて、ビールをテーブルにならべはじめたところであった。
なにせ本人を見たことないのだから、
どの人が今日の主役なのかわからない。
そのうちおもしろいものが並べはじめられた。
「小林めぐみ」「ビールを飲む女」「作家生活10周年」と書かれたラベル
には巨大なジョッキを手に「えっへん」と言っている女性が書かれていた。
これは小林めぐみ直筆の絵をもとにファンの人がラベルを作った
地ビールなのだそうだ。
やがて時間となり、司会の人によって小林めぐみが紹介された。
ファンからの贈呈の後、水野良による乾杯の音頭とともに会は始まった。
小林めぐみは地ビールなどがいたって好きなのだそうで、
その場にも各地の地ビールがところせましと置かれていた。
やがて、宴もたけなわというところで、
各人の自己紹介も兼ねたお祝いの言葉を順番に述べることになった。
どうも、みんな親し気だなと思っていたら、
それもそのはず、その場に居合わせた人の大部分がファンクラブ、
ERF 10人委員会のメンバーだったことををの時知った。
もちろん、ファンクラブの人たちだけでなく、
ただのゆきずりの人もいれば、
ただ単に飲めるからということで来た人などいろんな人が来ていた。
なお、このファンクラブに興味のある方は、
https://www.246.ne.jp/~hibiki-c/ERF/index.htmlまで。
ちなみに、この会の最後に例のファンの作ったラベルのついたビールのびん
をゲットしたのはいうまでもあるまい ^^;;;
これは最後の方の時間にやられた企画であったが、
実はガイナックスの企画がひとつだけはみだして、
行われていたので、ちょっとのぞいてみた。
スクリーンにフリクリの画像が流されるなか、ガイナックスの人による
トークショーが行われていた。
ここでの収穫は、フリクリがおもしろそうだなと思ったことでした。
敬称略
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