上野の東京都美術館でやっている毎日書道展の公募入選を見てきました。
私の作品が展示されているからです。
楚文字を題材にした創作の「為」です。
楚は少なくとも周の時代から戦国時代まで続いた国で、中国の中原から離れた独自の文化を築いていたそうです。それで文字も独特なものになっているのですね。それでも、漢字の一種で、篆書などとの関連も取られています。発見そのものはかなり最近のことなので、まだ研究の途上なんですけどね。文献は大体中国のものを取ってこないといけませんでした。題材は日本で発行されている法帖を使いましたけど。
一応、今回他の人の作品を注意して見ていたのですけど、楚文字を扱っている人はみつけられませんでした。一時期流行ったという話も聞いていたので、誰かいるかと思ったのですけど、なじみのない文字だけに誤字と取られる危険性があったんですよね。
とりあえず入選してくれてよかったという感じです。
都美術館には一般公募の入選作が展示してあったのですけど、隷書や篆書の作品が結構ありましたね。
もちろん行書や草書の作品もありますが。
楷書は作品になりにくいんですよね。写経の作品は楷書になりますが。楷書は形が決まっているので作品になりにくいんですよ。逆に言うと、楷書だけで作品として見せる技術のある人がいれば、それはかなりのものです。通常は、楷書の場合は臨書作品になります。楷書が確立する前の三国時代から、楷書が完成した唐の時代の作品の臨書でしょうね。
隷書や篆書も形が決まってるはずなんですけど、まだまだ色々と見せ方があるみたいです。
篆書はまさに秦が規定したスタンダードがあるわけなんですけど、それでも、いくつかのバリエーションや、清の時代に書かれた作品などの字体などもあるわけで、独自の作品を作り出すだけの余地があります。さらに木簡や金文の技術を取り入れて大字書にすることもよくありますね。
隷書は、漢の時代の標準字体だったのですけど、隷書の碑そのものがかなりの数があることから、これまた表現の自由度がかなりあります。ひとつの碑の中には無い文字も、その碑の字体の作風から扁やつくりを組み合わせて字を作ったりするわけです。肉筆資料である木簡の存在も、隷書作品にバリエーションを与えています。
それで篆書や隷書の作品が多いわけですね。
いくつか目を引くような作品はありましがた、それでも、ここにいる作品はあくまで公募の入選作品なわけで、入賞作品は別に展示されてるんですよね。
入選を繰り返していられる人はさっさと会員になってコンスタントに作品を発表してるわけだし。(手島右卿の展示を見てたときに、いついつまでに会員になれればいいや、なんて話してる人がいて、がっくりしてしまいました。そんなに簡単に会員になれるものなのか?)
で、都美術館のあとで、上野の森に行きました。
小林抱牛の遺墨展が開かれていたからです。
これを見てがっかりしてしまいましたよ。
やっぱりレベルが違いすぎるんです。
空間の使い方が全然違っていて、白の使い方が断然良い。とてもじゃないがかなわない。
この前の日記で、手島右卿の「抱牛」から雅号が取られたと書きましたが、それはまちがいでした。右卿の弟子の抱牛の雅号を題材にして作品を書いたものでした。参考出品として右卿の「抱牛」が展示されていました。
国立新美術館の方の毎日展の展示でやっている右卿の特別展のときにも感じたのですけど、結局のところ戦後まもなくに出てきたこれらの人たちを越えるような書家はほとんどいないんですよね。
書芸術は、文字を題材にする以上、その文字の法則からはずれることはできず、過去に積み上げられてきた書の技法の上に新しいものを作らないといけないわけで、難しいですね。
まぁ、それで、新しいものを生み出すことが困難なことがわかっていたからこそ楚文字を題材に選んだわけなんですけど。
まぁ、こうして見てみると、思ったほどの効果をだせてないなぁ。
思ったような効果を出せてないというのが歯痒いなぁ。
今回、友人に入場券をあげていたのですけど、ちゃんと場所を伝えてなかたものですから、まちがって乃木坂の方に行ってしまったようです。せっかく来てくれたのに、申し分けなかったです。
ちなみに、抱牛の展示の図録があったのですけど、手持ちのお金がなかったので買えませんでした T_T;;
上野の森のあとで秋葉原の方まで歩きました。いつもは素通りするだけなのですけど、今日はちょっと裏側の道の方ものぞいてみました。
昔LAOXがあったところです。昔の面影がほとんどないなぁ。
ラジオ会館はまだあるみたいですけど。
さらに歩いて神保町まで。
いつもの東方書店をのぞいてみました。
詩経の本があったんだけど、高かったので、今回は保留。ちゃんとした本が買いたかったんだけどなぁ。
東方書店の斜め向いぐらいにもうひとつ中国関連の専門店があります。
いつもは神保町に着く時間が遅かったので閉まっていたのですけど、今日は中を見ることができました。
東方書店とはまったく違う取り揃え内容でおもしろかったです。
また開いてるときには入ってみよう。
昔の本屋はこれだけ個性があったんだけど、今は大型書店に押されてそういうところはほとんどなくなってしまったからなぁ。
都営新宿線で新宿まで出ました。
ちょっとうろついてから、タカノで紅茶の葉っぱを買って帰りました。
連れはオカリナ関連のイベントに出ていたのですけど、家で合流して夕飯はデニーズで食べました。
今日はかなり歩いたぞ。
家に帰って携帯の歩数計を見たら2万3千歩も歩いていました。