レフの本番。
言うまでもなく、ツィルニトラ共和国連邦は旧ソヴィエト連邦を模したものであり、レフはガガーリン(ユーリイ・アレクセーエヴィチ・ガガーリン Юрий Алексеевич Гагарин)に相当する人物になっています。
現実の世界では、ガガーリンは1961年4月12日に世界初の有人宇宙飛行を行っていますが、Wikipediaによると作中の設定と同じように、ヴォストークВосток宇宙船から搭乗席が射出され、そこからパラシュートで降下したんだそうです。ヴォストークの操縦席には熊の縫いぐるみが吊るされ、無重力になったかどうかがわかるようにしていたそうですが、レフの宇宙船には龍の縫いぐるみになっていましたね。(龍はツィルニトラの象徴なので。)
ソヴィエト(現在のロシアも)の宇宙基地が置かれていたカザフスタンのバイコヌール(カザフ語: Байқоңыр、ロシア語: Байконур)は、本来のバイコヌールから300kmも離れたところにあって、かつてはチュラタムТюратамと呼ばれていたんだそうです。宇宙飛行士たちの住む都市はかつてはレニンスクЛенинскと呼ばれていたようですが、エリツィンによって正式にバイコヌールと改称されたらしいです。作中に何度も出てくる、おそらくはタイトルにも関係しているライカ44はおそらくはこのバイコヌールがモデルでしょう。
モデルとなった人物も大体はっきりしていて、ガガーリン当時にソ連書記長だったニキータ・セルゲーエヴィチ・フルシチョフНикита Сергеевич Хрущёвは作中のフョードル・ゲルギエフ第一書記、ガガーリンを送り出した宇宙船技術者でソヴィエトのフォン・ブラウンであるセルゲイ・コロリョフСергей Павлович Королёвは作中ではチーフと呼ばれるスラヴァ・コローヴィン、ガガーリンと最初の宇宙飛行士を競った候補生ゲルマン・ステパノヴィチ・チトフГерман Степанович Титовはミハイル・ヤシンに相当するんでしょうね。ところどころ似たような感じの名前を出してるところがにくい。
おそらく、イリナがレフよりも先に飛んだというアイディアは、ガガーリンの前にも失敗したが飛行した者がいたのだという説が元なんでしょう。ガガーリンの前に人形を試験のために飛ばしていたのがその説の元になったということですが。
イリナは地球を見て青いヴェールに覆われていると表していて、それと同じことをレフが宇宙から伝えましたが、これはガガーリンの「地球は青かった」ですが、Wikipediaによると原文は “Небо очень и очень темное, а Земля голубоватая.” (「空はとても暗かった。一方、地球は青みがかっていた」)だったそうです。レフのセリフの方が原文に近かったのかも。ちなみに、日本以外ではガガーリンのことばは「ここに神は見当たらない」の方が有名なんだそうです。
ガガーリンは飛行中に中尉から少佐へと二階級特進となったのですが、同じくレフも少佐となっていましたね。
上記はWikipediaからの情報を元に再構成したものです。