おとといの日記で、最初にキャプテンフューチャーのことを書いたのですが、実際のところSFにはまったのはキャプテンフューチャーからでしたね。
それ以前にも、いくつかジュブナイル向けに翻案された作品を学校の図書館とかで読んだことがあります。
なんだったっけかなぁ。合成人間だったかな?あとで知ったのですが、どうやら元はドウエル博士の首だったみたいです。かなり衝撃を受けたなぁ。
これは元ネタがわからないのですが、合成生物だったかそんな感じの作品も印象に残っています。発達したコンピューターの部品として人間の脳の一部が使われる世界なんですよね。そこの人たちはその脳にはもう意識がないものだと思っていたのですが、研究者の一人が死んでその脳が計算機の一部に組み込まれて、実は意識が残っているものなんだ、ということを知るわけですね。最初は孤独な世界だったところに、かつての恩師とか、恋人(?)も計算機の一部となって交流できるようになってきて。そして外界に対して働きかけるために合成生物を作ろうとしたんですね。名前が長いから略称でゴセシケとか(それだけ憶えてる)。最初は単純な生物だったのを、色々とバージョンアップして人間型のゴセシケまで作るようになっていって。ラストはよく憶えてないのですけど、その研究者と恋人が入りこんだ人間型のゴセシケが死んでいたような気がします。
ジュブナイルでもうひとつ憶えているのは地球最後の日。これはずっとあとになるまでオリジナルがあるとは知らなかったんですよね。原作とは違って、主要な登場人物が少年少女に置き換えられていたりして、冒険小説っぽい感じもありました。というか、ちゃんとオリジナル読んだ記憶ないし。
キャプテンフューチャーのあとはとにかく、まずはスペースオペラを読みふけりましたね。もうタイトルも憶えてないんですが。
ああ、レンズマンは憶えてますよ。かなり印象的な作品ですよね。どうやら、正義の方のレンズマン側はアメリカ軍を、敵のボスコーンは日本軍をイメージしたらしいですね。自由、自由と言いながら、かなり厳格な軍隊調だった印象がします。でも、その割には、オトリ捜査のために、主人公のレンズマンが麻薬漬けになってみたりしていて。本当に麻薬をやってるんですよ。おびきのために。レンズマンはそこに溺れないだけの精神の強さを持っているのだ、とう設定でした。いわゆる超能力物なんでしょうけど、基本的に、超強力な精神感応が武器で、いわゆるサイコキネシスの類いはまったく使えませんでした。
で、少しづつ本格的なSFにもはまっていきました。
ちょうど時代はSFブームで、SF誌もSFマガジン以外にも3誌だか4誌だかもあったほどで、漫画もSF色だらけでした。
ハリイー・ハリスンのテクニカラータイムマシーンはおもしろかったな。カットをモンキーパンチが描いてたんですよ。タイムマシーンで過去に戻って、そのシーンを映画に撮影する、というものなのですが、過去に行ってやったことがそのまま史実につながっていたりして。タイムパラドックス物のひとつですね。
タイムパラドックスというと、思い出すのはアシモフの永遠の終わり The End of Eternity ですね。エターニティーという時間から切り離された空間から、歴史の矯正を行っている組織の話なんですが、歴史に介入する際に、それこそちょっと花瓶の位置を変えるような変化によって歴史が大きく変わるので、それが変化しないようにしてる、という感じじゃなかったかな。
ちょっとしたことで歴史が変わってしまうんだ、というネタは漫画ですけど、藤子不二雄のTPぼん なんかもそうですね。時々強引に歴史に介入しますが、基本的にちょっとした変更で歴史が変わらないようにしてるというやつ。
反対側の立場を取るのがポール・アンダーソンのタイムパトロール Guardians of Time ですね。こちらの方は確か、歴史には元に戻ろうとする可塑性があって、少々のことでは改変されないが、時々キーになるできごとがあって、それによって歴史を改変しようとする者に対抗する組織としてタイムパトロールがあるんですよね。
最近のトレンドとしてのタイムパラドックスはこちらの可塑性があるという方に近い立場を取る人が多いんじゃないかな。平行宇宙とかの概念も一般化してきたし。
ポール・アンダーソンの作品は良く読みました。その割にはあまりよく憶えてないのですが、タウ・ゼロとかはかなりアイディアが秀逸だったな。ホーカ・シリーズみたいなユーモアのあふれる作品もありましたね。って、ホーカ・シリーズってほとんどそのまま竹本泉の猫めーわくシリーズと似たコンセプトなんだよなぁ。竹本泉もそういったSF好きだしなぁ。
あと、印象に強いのは大魔王作戦 Operation Chos ですね。今でこそラノベでめずらしくないコンセプトですが、科学のかわりに魔法が発達した世界での話で、これが大好きで、今も持っています。
デイヴィッド・ブリンのサンダイバー Sundiver とかも読んだなぁ。この人の作品で一番好きなのはポストマン The Postman ですね。まぁ、世紀末をみすえての作品だけあって、舞台は世界戦争で荒廃したアメリカ。そこでひょんなことから郵便配達夫の持っていた持ち物を所有することになった男が、とっさの嘘で、自分が復活しつつある国家から派遣されてきたポストマンである、といったのが、どんどんと話が大きくなっていって、本当の英雄になっていくという話です。なんというか、昔の古き良き時代のアメリカ風の話ですね。
ファンタジー色の強い作品、というかほとんどファンタジーですが、ディ・キャンプ&プラットのハロルド・シェイ・シリーズも好きですね。はじまりは普通の世界なんですが、「Pが非Qと同値であれば、Qは非Pを含意するが……」みたいな論理式を唱えることで異世界に移送されるという話。そこでは科学が役に立たずに、魔法原理だけが通用するという世界。科学の徒であったシェイは最初は役立たずとして異世界(実際は物語や神話の世界)に飛ばされるのですが、ひょんなことから、自分が巨大な魔法を使えることに気付いて大活躍するというものです。異世界での魔法には一定の法則があって、科学者であるシェイはその法則を分析して魔法をふるうのですが、シェイ自体が結構アバウトな性格であったし、トラブルメーカーでもあったことから色々な事件にまきこまれていくのですね。
3大SF巨匠のアシモフとクラークとハインラインの作品はもちろん好きですが、やっぱり性に一番合うのはハインラインの作品ですね。かなりラジカルな作品が多いのですけどね。夏への扉The Door into Summerぐらいは読んでおいて損はない作品ですね。宇宙の戦士はガンダムなどのモビルスーツにも影響を与えたという説がありますね。異星の客 Stranger in a Strange Land 、月は無慈悲な夜の女王 The Moon Is a Harsh Mistress、太陽帝国の危機(ダブルスター) Double Star 、愛に時間を Time Enough for Love とみんな好きな作品ですね。
SFそのものは21世紀に入る前後から急速にマイナーになりましたね。少なくとも日本では。というかアニメやラノベなどで、あまりにも多くのSF的なガジェットが使われるようになってきたので、もはやSFを単一のテーマとして切り出す意味合いが薄れてきたんですよね。世間ではSFに新しさを感じられなくなってきていたんですね。
再度にちょっと異色なSF作品を紹介しておきましょう。
シャーロック・ホームズ物です。
もちろんパロディー作品ですが、ちゃんとホームズの世界をしっかりと研究されて作られています。
比較的有名なのは、マンリー・W・ウェルマンのシャーロック・ホームズの宇宙戦争 Sherlock Holmes's War of the Worldですか。タイトルからピンと来る人がいるかもしれませんが、H.G.ウェルズの宇宙戦争の世界にホームズが居合せたという設定の小説です。ウェルズの小説の時代とか描写を元に、ホームズのキャノンにおいてちらっと書かれていた話とかを整合させて作られています。同じドイルの作品の登場人物であるチャレンジャー博士も出てきます。
それから、ローレン・D・エルスマン編のシャーロック・ホームズ対ドラキュラ Sherlock Holmes vs. Dracura or The Adventure of the Sanguinary の方はどちらかというとSFという分類は無理があるかもしれませんが、ブラムストーカーのドラキュラの世界とホームズ譚を合体させたものです。ホームズがヘルシング博士やドラキュラ伯爵とやりあうところは秀逸でした。
あと、これはもう手元にないかもしれないのですけど、超異色作である、ランダル・コリンズ編のシャーロック・ホームズ対オカルト怪人-あるいは「哲学者の輪」事件 The Case of the Philosophers's Ring なんていうのもありますね。あの魔術師アレイスター・クロウリーやヴィトゲンシュタインにケインズなどの哲学者が出てくるという怪作です。