複素数を使うと回転を簡単にあらわすことができるんですよね。
複素数というとあれ、$a+bi$ のように虚数単位 $i$ を使って表わされる数です。
正確には、和および積に対して群を成していて和と積の間に分配法則が成り立つ環でもある体というもののひとつです。
代表的な体は実数ですね。他に四元数(後述)と八元数があります。ここまでくると演算の順序を変えると結果が変わってしまいますが。
複素数は実数部と虚数部の二つの値を用いるので、それ自体が二次元平面上の点を表わすとみなすことができます。
というのは複素平面として学校でも習うような内容なんですが、なんで $a+bi$ という和の形のものが平面になるの? となるのはごもっとも。
そこで、まずは自由度をしばって、絶対値 $a^2+b^2$ が1となる場合だけに限定します。
実はこのとき $a+bi=e^{i\theta}$ という関係が成りたちます。
これも簡単に示せます。
$f(\theta)=e^{ix}$ として、$x$ について0まわりのテーラー展開します。(マクローリン展開) 級数展開ですね。
このとき、$ \frac{d}{dx}e^x=e^x$ という関係を使います。 ( $\frac{d^0f}{dx^0}=f$ と、 $0!=1$ も使う。)
$$ f(x) = \sum_{n=0}^{\infty}\left(\left.\frac{1}{n!}\frac{d^n}{dx^n}f(x)\right|_{x=0}x^n\right) = \sum_{n=0}^{\infty}\left(\frac{1}{n!}(i)^ne^{0i}x^n\right) = 1 + xi - \frac{1}{2!}x^2 - \frac{1}{3!}x^3i + \frac{1}{4!}x^4 + \dots $$
さて、ここでちょっと飛躍するように思えますが、$e^x$と同じような微分法則が成り立つ関数である三角関数を考えます。
$$ \sin(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n}{(2n+1)!}x^{2n+1} = x - \frac{1}{3!}x^3 + \dots $$
$$ \cos(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n}{(2n)!} x^{2n} = 1 - \frac{1}{2!}x^2 + \frac{1}{4!}x^4 + \dots $$
これからただちに、$$ \cos(x)+i\sin(x) = 1 + xi - \frac{1}{2!}x^2 - \frac{1}{3!}x^3i + \frac{1}{4!}x^4 + \dots = e^{ix} $$ となることがわかります。
$a=\cos(x)$ , $b=\sin(x)$ とすることで、$a+bi=e^{ix}$ であることが示せました。
これは先程の $a^2+b^2=1$ についても、 $\cos^2(x)+\sin^2(x)=1$ であることから自明です。
次にこれが回転と関連あることを示しましょう。
複素数が平面上の点だと上に書きました。$x$ を $\theta$ に読み換えて、X軸成分を $x=\cos\theta$ , Y軸成分を $y=\sin\theta$ と置くと上の関係を全て満すようになります。なおかつ、三角関数の定義から長さ1の線分をX軸から反時計回りに $\theta$ 回転した座標が $(x,y)$ となっていることがわかります。
さて、$(x,y)$ から $\Delta\theta$ だけ反時計回りに回転するとします。その時の角度は $\theta + \Delta\theta$ となるので、最初の方で使った指数関数を使って、 $$f(\theta+\Delta\theta)=e^{i(\theta+\Delta\theta)}=e^{i\theta}e^{i\Delta\theta}$$ となります。ここで $e^{a+b}=e^ae^b$ の関係を使いました。
$e^{i\theta}$ が $(x,y)$ を表し、それに $e^{i\Delta\theta}$ をかけることで $\Delta\theta$ の回転になるということになります。
ここで $x^2+y^2=1$ の条件をとっぱらいます。これは指数関数に適当な実数 $r$ をかけてやることで実現できます。
つまり、 $$re^{i\theta}e^{i\Delta\theta}=(re^{i\theta})e^{i\Delta\theta}$$ ですから、任意の平面上の座標に対して、絶対値1となる複素数をかけることで回転を簡単にあらわすことができることを意味します。
まぁ、回転を表現する方法は色々あってそのうちのひとつの手段であるということなんですが。
座標をベクトルの形で表わして、回転を行列の形であらわすこともできますが、本質的には同じことです。
さて、複素数が2つの実数の組み合わせで表せたのに対して、四元数は4つの実数を用いて表すことができます。
$a+bi+cj+dk$ みたいな形ですね。この絶対値を1になるようにしてやると、条件がひとつ加わることになるので、独立な変数は3つになります。
実は3次元の回転は3つの変数で表すことができます。
簡単な例としては、回転軸の方向を二つ(例えば緯度経度のようなもの)であらわして、その軸のまわりの回転角一つで合計三つです。他にもオイラー角という3本の軸の周りを順に3回回転させることでも任意の回転を表すことができます。
このことから上の複素数の議論と同じで、回転を簡単に表現することができるので、どうやらグラフィックの世界では四元数を使うみたいです。
あー。一応注意。
検算してないので、上記の式をコピペして試験でばってんくらっても当方は感知しませんのであしからず。
議論の大筋はあってるはずですが。
NHKでやってる深夜アニメなんですが、なんとなく見てしまうことが多いんですよね。
秦の始皇帝周辺の話らしいです。
セイとかシンとかいうからわからなかったのですが、セイというのは秦の始皇帝嬴政のことでした。まだ皇帝を名乗る前の秦国の王みたいですが。
そして主人公のシンというのは李信のことだそうで、どうやらこちらも史実上の人物らしいですね。唐の開祖である李淵の先祖と言われますがこれは異論もあるようです。唐の詩人の李白の先祖でもあると言われてるみたいですね。
登場人物にかなり史実上の人物がまざっていて、実は仲々あなどれない作品みたいです。
wikipediaのキングダムの項目は難しい漢字ばかりが並んでいたりします。
そういえば、この前の回で官吏が竹簡の巻物から読み上げてるのをみてある意味リアリティーとリアルっぽくないところが見えました。アニメではかなりぶっとい板をまとめて巻物にしていましたが、実際に発掘されている木簡や竹簡は幅が5ミリ程度の小さなものだったりします。結構小さな文字が書かれていたんですよね。
ちなみに、この時代に使われていた文字は篆書です。
国によって書体が異っていたのですが、始皇帝が中原を統一してからは秦の篆書が公用体として用いられるようになり、いわゆる篆書といえばこの秦の小篆を意味することになります。
ただ、小篆が用いられたのは青銅器や石碑においてで、手で書かれた文字はすでに隷下して秦隷になっていたと考えられています。