見てきました。
実はこの作品、前提知識がほとんど無い状態だったんですよね。
原作1巻は何年か前に買ったのは良いのですが、実はほこりをかぶっていたりして。。。
関連する、と言っていいのかどうかの『紅殻のパンドラ』しか見たことないし。あ、同じ原作者だということと、一応関連しているパラレルワールド的なものが『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』だというだけあって、見たり聞いたりしたようなところは随所にあったんですが。
まぁ、でも映画をそれだけ新鮮な目で見ることができたのじゃないかと思っています。
と、今原作の英語タイトルを見ておや、と思ったのですが、映画の方のタイトルには ghost に定冠詞 the がついてないし。 the ghost じゃないし a ghost でも無いんですね。the shell の方は脳殻が収められている場所をおそらく意味するのだから、確かに the がつきますね。そういうところだから。でもghost はそこに宿る「何か」であるから冠詞はつかないということかなぁ。
というわけで、元々の原作がサイバーパンクな時代のものだっただけあってばりばりのサイバーパンクです。ブレードランナーは実はちゃんと見たこと無いのですが、東洋っぽくて雑多で、立体映像の広告が出まくっているあたり共通する景色なのかもしれません。ただ、おそらく演出とかはもっと自然にやってる。
サイバーパンクなのもそうですが、実際のこの話はタイトルの ghost = 心のようなもの? にあるように、「少佐」が自分のアイデンティティーと直面して行く過程のドラマだったりします。「少佐」の演技に制作側が絶賛していたのも納得できる演技でした。(個人的には。) (「少佐」は英語で Major なのですね。)
荒巻を演じるビートたけし がいきなり普通に日本語をしゃべっていたのには驚きました。戦場のメリークリスマスのときに英語に苦労したという話は当時、テレビで放映されたころに本人が語っていたのを覚えています。とにかく子音を強く発声し、子音だけで口の前に垂らした紙を吹き上げるほどにするんだ、という話が印象的で、その後英語の発音の時に注意するようにしたものです。そんな たけし だったから登場したときに、さてどうしゃべるんだろう、と思ったらいきなり日本語だった、と。で、それなのに普通にお互いに意思疎通してるんですよね。電脳ネットによってそこらへんのラグが無く意思疎通ができる、という話みたいです。
話の中では魂 = ghost を持たないロボットも出てきたりしていて、そこで「少佐」も悩むんですよね。
とにかく、普通の状態(?)でも電脳ネットで接続し合ってるわけで、目に映る世界が本当にそのままの物とは限らないし、肉眼では見えない物も見ることも可能だったりして。拡張現実どころか脳に直接信号を送ってしまってるんですからねぇ。
古きサイバーパンクを愛する人は見て損は無いと思いますが、原作やアニメのファンの反応は、劇場から出るときの観客の反応を見る限りではいまひとつ、という感じでした。EDのスタッフロールで立つ人の数も、最近の映画にしては多かったしなぁ。
まぁ、でも映画は映画ですよ。他とは独立した物としての世界観やキャラ設定が、ちゃんと作品の中で整合性を持って完結してるし、私は良かったと思うよなぁ。
ところで、撮影のひとつに香港を使っていたことと関連があるのか、制作会社のうち2つぐらいに中華系の企業の名前がありました。
あと、本編がはじまるまえの予告編のところでやっていたグレートウォールですが、あまりにもトンデモすぎて苦笑してしまいました。ものすごくパチモンっぽい中華風長城に欧州風の登場人物がからんでくるみたいなんですが、すごくB級というかC級っぽい内容が。。多分、予算はB級どころじゃないんでしょうがね。。。