上野の東京国立博物館で開催されている顔真卿展に行ってきました。目玉は台湾の台北國立故宮博物院収蔵の祭姪文稿です。姪というのは普通は めい のことですが、ここでは甥のことを言います。(字義的に甥の意味があるらしい。) 詳細は後述します。
この展示、やたら人気があるみたいで、ほとんど朝一に国立博物館に着いたのですが、すでにかなりの長蛇の列となっていました。入る前から祭姪文稿の待ち列が30分とか書いてあるし。
最初はジャブで甲骨とか金文とかの作品がちょろっと紹介されていて、そのあとに唐代の顔真卿に続く書道史をなぞるように作品が続いていました。
篆書や隷書もかなり代表的なものの拓本が展示されていました。秦の時代の前の石鼓文に秦の時代の代表的な篆書の泰山刻石や始皇帝が重りの標準器とした分銅に刻まれた篆書とかがありました。隷書もこれまた典型的な禮器碑や八分隷の曹全碑、磨崖に彫られた隷書である開通褒斜道刻石などの拓本が展示されていました。ここらへんにかなり日本の三井記念美術館や国立博物館所蔵の作品があるのがすごいところでもあるのですが。
はずせないのは東晋の王羲之。その代表作の蘭亭序のうち、後代における唐の三大書家のひとりである欧陽詢が臨書されたとされる定武蘭亭序の拓本がいくつかありました。あと褚遂良による黄絹本蘭亭序も展示されていました。
このあたりの時代の書作は肉筆が残っていることが少なくて、碑に彫られた文字の拓本や謄模と言って字形を取って線を塗りつぶした手本用の模倣品が主だったりします。
王羲之の子孫である智永の真草千字文の拓本もありました。ちなみにこの智永という僧は蘭亭序の真蹟を所有していたのですが、蘭亭序を望んでいた唐の大宗皇帝の使いの者が彼を騙して持って行かれてしまったという逸話が残っています。
こうして大宗皇帝の元に来た蘭亭序は、大宗の命によって大量の臨書や謄模が作られ、書道の教育に用いられたといいます。その中で特に書に堪能な大宗の部下に唐の三大書家がいました。先の欧陽詢の他に虞世南、そして褚遂良です。この三人の代表的な作品の拓本もかなり展示されていました。
ここまで来たところでようやっと顔真卿の名が出てきます。
顔真卿は生涯で何度も左遷によって地方に追いやられていたのですが、玄宗皇帝の時代、地方の反乱である安史の乱で親戚を失なってしまいます。その中の甥の顔李明を供養すべく書いた文の草稿が祭姪文稿と言われています。書いているうちに怒りつのってきて、段々と激しさを増し、最後は悲しみで文字が震えてくるという、強い感情の動きが見える作品です。これは日本では初公開ということで、今回の目玉になっていました。これを見たいがためにこの展示に来たという人もいるようで。
で、私と連れがこのフロアに着いたときに、すでに待ち列は90分となっていました。延々と並んで作品の前にようやっとたどりついたのですが、係の人に押されて作品の前をすーっと通り過ぎる間にしか見ることができませんでした。うーん。ただ、ここはいつまでたっても列が途切れないので、それの止むを得ないのでしょうがねぇ。
実際のところ王羲之を超えた、というあおり文句も言いすぎだとは思いますが。まぁ、王羲之そのものを神聖とみなすのも時代によりけりですがね。
で、顔真卿より後の時代の書家の作品もありました。
顔真卿と同時代で、狂草という狂ったように激しく動く草書を能くした張旭や懐素の作品もあり、特に懐素の作品は狂草の典型の自叙帖と一字千金に値すると言われる千金帖が展示されていました。
日本の三筆や三蹟に続いて、宋の四大書家である蘇軾、米芾、黄庭堅、蔡襄などの作品も展示されていました。
そのあとの元、明、清などの時代の書作もありましたが、もはやここまで来ると唐代や王羲之の片鱗もほとんど見えなくなってしまっているように感じられました。というか、この時点で王羲之の名が出てくる段階で王羲之の影響が大きいということなんですがね。
で、祭姪文稿で並んでいた時間も含めて3時間ほど見たところで国立博物館を出ました。
一瞬足が止まりました。
なんか朝よりも入場待ちの列が増えています。中がつまっているからさらに待たされてるみたいです。中に入るまで1時間近く、中でも100分ぐらい待つと書かれていました。
この展示がいかに人気があるかを示していますね。。。うわ。
もう14時になっていたので、遅い昼を食べようとしたのですが、今日はどこも人がいっぱいで、上野駅の周辺では食事はできなさそうです。
途中のコーヒーの喫茶店であるラパンに寄ろうと思ったのですが、今日は休み、と。
といってるあいだに秋葉原に着きました。
ここでは実は見たかったものがあって。
写真にある おめがシスターズ の看板です。TSUKUMO Exだったかな? の壁面に12月ごろからかかっているのですが、この連休あたりが最後になるということらしいので今日がギリギリ見れる限界だったみたいです。間に合ってよかった。
おめシスはいいぞ。
ちょうど光線の具合が悪い感じだったので光ってしまったのがちょっと残念。
で、秋葉原もどこも混んでいそうなので、そこを通り過ごして、はずれの方にあるカレー屋のトプカで遅い昼を食べたのでした。
小川丁から丸の内線に乗って新宿まで。
ちょっと喫茶店を探して彷徨ってから、大ガード近くのルノーアルに入りました。というかルノアールですら一杯になっている今日って。。。
ちょっと本屋に寄ろうと思ったのですが、疲れてるし時間も時間なので今日はあきらめて、拝島ライナーで帰りました、とさ。
ふひゅう。