読了。
いわゆる転生悪役令嬢物のひとつです。
悪役令嬢物でよくあるのは、悪役令嬢に転生した主人公が破滅フラグを回避するために立ち回るうちに、いつのまにかヒロインの立場に入れ替わってしまうというもの。はめふら(「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」)がそん典型的な話ですね。
この話では、将来最悪の女王となり、自分が傷付けてきた人たちの手によって滅ぼされることになる、第一王女プラウドに転生してしまった主人公は、自分が将来滅ぼされること自体は受け入れているのですよね。そのかわり、物語の中で自分が傷つけることになる人たちを救おうと努力しているのでした。つまり、主人公の意識レベルがやたら高い。
物語の中では自分を滅ぼすことになっていた義弟や将来の騎士団長に対しても、自分が将来民のためにならない悪い王女になったら迷わずその手で自分を殺してくれとつぶやいている。
とにかく意識が高いので、自分に救える者があるのならば、自らの危険も顧みず助けに入ったりするのでした。
そして物語の中ではプライドというのはラスボスであるだけに、性格は悪いのに知力体力技術すべてにチートな能力を持っていて、この話のプライドも性格以外はそのチートを受け継いでいたのでした。2巻の冒頭にある敵との立ち回りはかなりかっこ良いものでした。
それにしても、以前も話したかもしれませんが、この手の話は必ずしも主人公が本当に転生してなかったのだとしても成立することがあります。この話はその典型とも言えるかと。
王位継承権は伝統的に予知能力が目覚めた女性の王族から与えられることが多いという設定になっていて、1巻でも物語の中ではじめて未来を予知したのと同じタイミングで生まれ変わりを思い出し、その知識から予知したのと同じセリフを言うことになります。ある意味、転生というのはプライドの主観の問題でしかなく、何も証拠はないのですよね。あるのは彼女の記憶のままに現実のイベントが起きようとしてることだけ。でも、それすらも、予知の能力がそういう形で発現してるだけで、転生というのは彼女の妄想に過ぎないのだと言ってしまえば言ってしまうことができるわけですよ。
そういう意味で、この話は転生悪役令嬢物とはいっても、そうではなく、自らの悪い未来を予知してしまった主人公がそうならないように努力していく物語だと読むこともできるわけで、そこらこの話のおもしろいところなのではないかと思います。
うーん。今回のことについては事前にネットで評判を耳にしていたんですよえ。
どうにも おさまけ がやらかしたらしい、と。
確かに作画も脚本もかなり酷い出来でした。
例によってコミカライズしか読んでないのですが、アニメの方は必要なシーンを明かに削ってるようで、それが故に登場人物たちの心情の変化や、そのやりとりの重さというものを表現することができなくなっている。いや、削ってなかったとしても見せ方としてはいかがと思いますが。
で、今回のダンスは序盤のエピソードにおけるかなり重要なシーンであるはずなのですが。
なんというか。
酔った蛸がうごめいてるような……。
まぁ、仲々振り付けがちゃんとできる人にたのむというわけにはいかないのだとは思いますが、あれはかなりひどい。ダンスの途中の絵そのものもね。
おさまけ って動画工房の制作で、動画工房は結構クオリティーが高いところだと認識していたのですが、タイミングが悪かったのかスタッフの取り合わせが悪かったのか。そんな大崩れというわけではないですが、うまくできてるとは言えない程度の出来になっています。
聞いたところではアニメ化発表のタイミングもそこからの実際のアニメ放映までの期間もかなり短かいほどの人気作だということなのですが、それが仇となったのか。